ガンディーの経済学
ガンディーは「機械は壮大だが、恐ろしい発明品だ」とか、「トラクターと化学肥料はインドの荒廃を意味する」とかと言い、一貫して近代的工場生産を反対した指導者として、また外国製品をボイコットしたスワラージ主義者として知られてきた。...
View Articleリオリエント
いま、ぼくは「世界の見方をコンテント・インデックスするための作業」の一応の仕上げにかかっている。30年来の懸案の仕事で、マザープログラムとしての「目次録」というものだが(詳しいことはそのうち公表する)、これをイシス編集学校の「離」の演習を修了した者たちがつくる「纏組」(まといぐみ)のメンバーとともに取り組んでいる。...
View Articleイスラム経済論
久々に土取利行さんと話した。30年来の付き合いですが、やっぱり深くてカッコいい。12月18・19日の2日間イベント、平城遷都1300年記念事業のラストを飾るグランドフォーラム「NARASIA 2010」(県立文化会館)に出演してもらうためで、土取さんにもずっと奈良に滞在してもらっていたからです。 「NARASIA(ならじあ)...
View Articleイスラームの歴史(全3巻)
本賀新年。今年もぼくの1年は「本を賀する」という日々になります。正確には「本に資する」というべきだけれど、それにしても、こんなにも本を相手に日々格闘するとは思いませんでした。...
View Article図説コーランの世界
聖典『コーラン』。発音からすると「クルアーン」と表記する。本書もタイトルには“コーラン”が使われているが、本文ではすべて『クルアーン』になっている。 コーラン=クルアーンは「読誦されるもの」という意味をもつ。イスラームは「帰依すること」の意味、ムスリムは「帰依する者」の意味だから、ということは『クルアーン』を読むこと自体が、ムスリムにとってのイスラームという帰依なのである。...
View Article歴史序説(全4冊)
この男はあるときは学者で、あるときは裁判官、あるときは政治家で、あるときは亡命者だった。ゲーテ(970夜)より多彩だ。幕僚となって戦闘に加わり、地下牢に幽閉され、大法官となって裁いた。モンテ・クリスト伯(1220夜)より変幻自在だ。...
View Articleアラビアン・ナイト
今夜が1400夜目の千夜千冊だ。56歳のころにちょいちょいと書き出して、ここまでざっと10年ちょっとかかった。だから、いまや67歳だ。多少ながら感慨もある。長く続いたからではなく、やっとのこと1400冊目にしてアラビアン・ナイトとしての『千夜一夜物語』をなんとか組み込めたからだ。...
View Article完訳 東方見聞録(1・2)
わが愛するイタロ・カルヴィーノ(923夜)の『見えない都市』(河出書房新社)は、旅を了えた中年のマルコ・ポーロが大旅行の思い出を記しているのではなく、若いマルコがフビライ・ハーンの求めに応じて、いましがたの数年数カ月にわたって見聞してきたばかりの“ユーラシアン・アジアもどき”に点在していた都市を、ほやほやの口吻で次から次へと語っていくというスタイルになっている。...
View Articleヨーロッパ覇権以前(上・下)
この数週間で、チュニジア、エジプト、リビア、イエーメン、バーレーンなどのアラブ中東イスラーム社会が、次々に火を噴きはじめました。執拗で強引で小心だった大統領ムバラクも、僅か数週間の民衆暴動の波及によって、ついに退陣を余儀なくされましたね。...
View Article世界史の誕生とイスラーム
こういう日本人の本を紹介できるのは、ちょっと嬉しい。宮崎正勝は『イスラム・ネットワーク』(講談社選書メチエ)の中で、アッバース朝がユーラシア商業圏というネットワークを形成したところに「世界史の誕生」があるという提案をした。1994年のことだ。...
View Article新版 活動期に入った地震列島
3月11日の午後2時半すぎ、青山表参道裏のギャラリーで薈田純一さんが松丸本舗の本棚を全面写真にした「BOOK SHELF」展を、和泉佳奈子ともども見終わって、さてそろそろ事務所に戻ろうと青山通りに向かう途中の和物屋に立ち寄っていたとき、東京の地面がぐらりと大きく揺れ始めた。すぐに店の外に出たが、揺れはそのまま止まらない。...
View Article新リア王(上・下)
◆椀コ、南昌、東根の、氷霧あえかのまひるかな。 (宮沢賢治「岩頚列」) 東北。みちのく。アラハバキの国。 古称は陸前・陸中・陸奥・磐城・岩代である。そのうちの陸前・陸中・陸奥が三陸になる。ときに奥羽地方とも呼ばれてきた。かつて奥羽は陸奥と出羽をさしたが、いまでは東北同様に、青森・岩手・宮城・福島・秋田・山形の6県をさす。...
View Article鎮魂詩四〇四人集
3月29日、午前2時50分。 さきほど仕事先に送るレポート9枚を深夜送信し、自宅に戻って着替えながらCSの24時間ニュースを見ていたら、東電のリーダー格が記者会見場で「福島第一原発敷地の土壌数ケ所からプルトニウム検出をした」と喋っていた。燃料棒から漏れたのだという。地下坑道の水位がいつのまにか上がり、そこにも1000ミリシーベルトを超える放射線が検出されたとも言っていた。...
View Article〈弱さ〉のちから
3・11以来、日本列島の弱い部分についの議論が、いまだぽつぽつとではあるけれど、少しずつ深まってくるようになった。 この数十年間、日本はやたらに「強さ」を求め、どんなグラフも右肩上がりであるのがいいと言い合い、世界のどこでも自慢できるような規準値に追いつき、企業はつねに勝者であろうとすることを誇ろうとしてきた。それがばかばかしいほどのグローバリゼーションの美名とともに広まった。...
View Article東日本大震災・日本人の再出発
4月7日(木)。夜11時半をこえたころ、東京がまたもやぐらぐらぐらと揺れた。十数人の内外のスタッフと松丸本舗「本集」のための選本ミーティングをしていたときだ。テレビをつけると、宮城沖でマグニチュード7・4の地震がおきたと報じていた。...
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